2011/05/24

トピック:青銅器時代から続く町がダムの底へ? トルコ・ハサンケイフ

ハサンケイフの風景
チグリス川沿いにある町は、青銅器時代から続いているものもあり、数々の国の興隆、旱魃、戦争、厳しい気候の変化の中でも生き残ってきた。

しかし、トルコ南東部バトマン(Batman)地方のチグリス川流域にあるハサンケイフが、ダム建設によって水没する恐れがあるという。
トルコ政府は南東アナトリアのダム開発を急いでおり、ダムが完成すればこの地域の川の水面レベルが60m上昇する。

ハサンケイフは、ローマ、ビザンツ、アッシリア、アラブ、モンゴル、オスマン・トルコなどの数々の文明による支配を受け、それぞれの文明の痕跡が今も町に残っている。
中世にチグリス川に架けられた橋は、当時としては最大のものであり、今も残っている。

北岸には15世紀の青いタイルによって装飾されたゼイネル・ベイ廟がある。
その他、ハサンケイフ周辺には300以上の遺跡があり、その多くは未だ調査が行われていない。

地元や海外の活動家が、ハサンケイフの保護のために奔走しているが、トルコ政府はダム建設を敢行する予定である。
イリス・ダムと呼ばれており、2009年にはドイツ、オーストリア、スイスが社会や環境への影響を考慮し、建設のための財政的な援助を打ち切ったが、トルコ政府は自国の財政で費用を賄うことができるという。

2010年10月には、60マイル下流にあるイリスの人々が、新たに国によって建設された町に移り住んだ。

トルコの首相Recep Tayyip Erdogan氏は、ダムの利用開始を2016年から2014年に早めるよう要請したという。

ハサンケイフの人々が移住する町の建設はすでに進められている。
新しい町が建設される様子を見て、町民の1人は「生き埋めにされる気分だ。そしえて我々ができることといったら、ただ自分の墓が掘られているのを見ることだけだ」と言っている。

全ての希望が断たれたわけではない。
2011年3月には、法廷でハサンケイフの文化的価値とダム建設によるダメージを評価するよう判決が下された。

この判決はたった1人の原告によってもたらされた。
弁護士のMurat Cano氏は2000年からダム建設に反対している。ダム建設が歴史的遺産を保護するための国内の法律や、ヨーロッパの遺跡保護に対する取り決めを無視しているという主張に基づいている。

「文化省はどうやって歴史的遺産を移動し、保護を行っていくか、現実的なプランは一切だしていない」とCano氏は批判している。
「彼らはどの建造物を移築するのかさえ明確でない。もし評価報告書が国際的な保護基準に則って書かれれば、イリス・ダム建設プロジェクトは頓挫するだろう」

Turkish dam threatens town that dates back to the bronze age

2 件のコメント:

  1. 考古学ファンとしては、観光資源として活用してほしいですね。

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  2. コメントありがとうございます。
    実は、このサイトではじめていただいたコメントです。

    ハサンケイフ、私はいったことがないですが、青銅器時代から続き、今もそこに人が住み続けている町を、ここで絶やしてしまうのは、本当にもったいないことです。

    なんとか、ダム建設が食い止められるといいですね。

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