2011/09/22

空からでしか認識できない中東の謎の巨大構造物

南米ペルーの乾燥した盆地に広がる巨大な古代の図像「ナスカの地上絵」。
実は、ナスカの地上絵のように空からでしかその全体像を認識できない、巨大な構造物が中東にも存在する。
衛星画像、航空写真によって確認されており、その数は1000以上に及ぶという。

石による構造物で、円形の囲いの中にスポークが放射状に伸びる、「車輪」形が多い。
研究者によると、これらの構造物は古代のものであり、少なくとも2000年前には遡るという。
しばしば溶岩原で発見され、直径は25m〜70mほどある。


「ヨルダンにはナスカの地上絵よりも数が多く、より広大な土地に及び、そしてより古い石造の構造物がある」と西オーストラリア大学古典・古代史学科教授David Kennedy氏は述べている。

Kennedy氏の最新の研究によると、この地域には石による広大な構造物がいくつも存在しており、車輪状の構造物はその1つの種類になるそうだ。
構造物にはカイト形(動物を追い詰め、殺すための構造物)、ペンダント形(墓から続いている石塚の列)、そして明確な実用性があるとは思えない、何百フィートにも渡って蛇行する壁、などがある。

Kennedy氏の専門は古代ローマの考古学だったが、学生時代に1920年代のイギリス空軍のパイロットによる報告を読んだ時から、この謎の構造物に魅了されていた。

1927年には、イギリス空軍のPercy Maitlandによって、構造物に関する報告が考古学雑誌に掲載されている。
報告には溶岩原での構造物の発見に関する言及があり、地元のベドウィンにも知られていたことが記されている。

Kennedy氏とその研究チームは航空写真やGoogle Earthを用いて研究を行っている。
この構造物は地上から確認することが難しいからだ。

「現場にいるときに、構造物のパターンがわかることもあるにはあるが、非常に難しい。100フィート程の高さに上がると、やっとその形が認識できるようになる」
「人々は何世紀、何千年にも渡って、この構造物がどのような形をしているのか、明確なイメージを持たないまま、構造物の上を歩き、通り過ぎて行ったのだろう」とKennedy氏は述べている。

今のところ、車輪型の構造物はどれも発掘が行われていないため、時期を特定することや、用途について調べることは難しい。
Google Earthがまだ無い時代にこれを研究していた考古学者は、この遺跡が家屋かもしくは墓地であろうと推測していた。
Kennedy氏は、このどちらの解釈も、うまく当てはまらないと述べている。

「この地域には、円形の構造物を作ることが必要と人々が考えるような、文化的な継続性があったようだ」とKennedy氏。

ある場所では車輪は独立して存在し、またある場所では車輪が群がっている。
アズラック・オアシスの近くでは、何百もの車輪形の構造物が12のグループとなって集まっている。

サウジ・アラビアでは、まったく異なったスタイルの車輪が発見されている。
いくつかは方形でもはや車輪とは言えず、またいくつかは円形だが2つのスポークがあり、それぞれ日の出と日の入りの方向を向いている。

ヨルダンとシリアにあるものは、数多くのスポークがあり、天体に関する現象との一致はないようである。
「何年にもわたって多数の構造物を見てきたが、スポークの並び方に関するパターンのようなものは見えてこなかった」とKennedy氏は語っている。

石塚が車輪形の構造物とともに発見されることがよくある。
石塚は車輪の周囲で円形に積まれていることもあり、一方で放射状に積まれていることもある。
サウジアラビアでは、いくつかの石塚は古代の埋葬に関係があると考えられている。

年代についても、少なくとも先史時代のもので2000年以上は前、程度でしか分かっていない。
いったい誰が、いつ、何のために作ったのか、この謎を解くための十分な手掛かりは、まだ見つかっていないようだ。

Visible Only From Above, Mystifying 'Nazca Lines' Discovered in Mideast



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