2011/09/14

ドラキュラのルーツ? 死者復活に対する恐怖が生んだ埋葬習慣 アイルランド

アイルランドで口に石が詰め込まれた1300年前の2体の人骨が発見された。
この風習は、死者がよみがえり、生者をおびやかさないようにするためのものだという。
発見された人骨
ヴァンパイアや亡霊、幽霊は、墓に埋められたときに必要な手続きを行っておかないと、現世に戻ってきてしまうと信じられており、このような特殊な埋葬はこうした伝説と関係しているようだ。

アイルランド・スライゴ工科大学のChris Read氏によると、人骨は2体とも男であり、並んだ状態でロスコモンのロッホ・キイを見下ろす遺跡から発見された。このようなタイプの埋葬は、アイルランドでは初めての例だという。

同様の埋葬は、イギリスやその他のヨーロッパの国々では発見されていた。
2006年にはイタリアのベネチアで16世紀の疫病の被害者と思われる遺体の中に、中世のヴァンパイアと目される遺体が見つかった。
人骨は女性のもので、岩が口の中に入れられており、当時は女性のヴァンパイアがヨーロッパ中に疫病を蔓延させた張本人と考えられていたこと示す証拠、と専門家は見ている。

Read氏はアイルランド王立アカデミーの資金的援助を受け、ロスコモンの遺跡で2005年から2009年にかけて137体の人骨を発掘した。
この遺跡には、700~1400年の時期の、3000体に及ぶ人骨があると考えられている。

口に石を入れられた2体の人骨は、一方は年のいった成年であり、もう一方は若い成年で、同時に埋められたのではないことがわかっている。
2体の人骨は8世紀のものと考えられている。
ヴァンパイアがヨーロッパの伝承に広まったのは1500年代であり、発見された遺体とは明らかに時期が違うことになる。

「一方の遺体は真上を見るような形で置かれており、大きな黒色の石が入念に詰め込まれているのに対し、もう一方は顔が横を向いており、より大きな石が乱暴に口に入れられていて、顎がほとんど外れてしまっていた」とRead氏は説明している。

Read氏とその共同研究者で、人骨の考古学的分析が専門のCatriona McKenzie博士は今年の夏、遺体のより詳細な分析を実施した。

亡霊説の存在を完全に証明することは不可能だが、こうした埋葬が行われた人物が、悪魔的なものと関連付けられていたことは疑いがないとRead氏は強調している。
亡霊や「歩く屍」になる可能性があるとされた人は、存命の時から社会の中でもアウトサイダーであることが多いそうだ。

アイルランドの伝承には亡霊に関するよく知られた話があり、古典『ドラキュラ』の作者であるアイルランドの小説家ブラム・ストーカーは、よく言われているようにルーマニアのおとぎ話からインスピレーションを得たのではなく、アイルランドの邪悪な族長の伝説から着想を得たという説がある。
ブラム・ストーカーの肖像
アイルランドの伝説では、族長が自分の命を維持するために、血の注がれた器を求めてやってきたため、三度殺されたという言い伝えがあるそうだ。

死者復活に対する人々の恐怖を垣間見ることができる、興味深い発見と言えるだろう。

Documentary focus on unique deviant burial find



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