2011/09/02

沈没船の積み荷がほぼ完全な状態で出土 トルコ・イェニカプ

 トルコ・イスタンブールにあるイェニカプで発掘が遺跡では、世界でも最も保存状態が良いと言われている沈没船が発見されており、発掘が進められている。
イェニカプでの発見ニュースでは、アルケオニュースでも取り上げたことがある。
過去の記事:保存状態最高の古代ビザンツの船を積み荷とともに発見 トルコ・イェニカプ
発掘の様子
調査を行っている考古学者らによれば、船は4世紀から5世紀のもので、嵐で沈んだと考えられている。
驚くべきことに、積み荷のアンフォラ(液体物の運搬に使用した大型で細身の土器)のほとんどは完全な状態だった。
イェニカプの発掘は2004年に開始されており、イスタンブール付近の8500年間に及ぶ考古学的資料が発見されているという。
人骨、礼拝堂、井戸から足跡まで発見されており、さらには35隻もの沈没船が見つかっている。

今年の5月に発見された船は長さ15~16m、幅6mで、数多くのアンフォラが積まれていた。
アンフォラはこれまで発見されたものとは異なる形、色で作られていた。
船は完全に泥に埋まっており、この無酸素状態が船体の保護や積み荷の破壊・劣化の防止に役立っていたと推測されている。

酢漬けの魚、アーモンド、クルミ、ハシバミ、マスクメロンの種、オリーブ、桃、松ぼっくりなども良好な状態で保存されていた。
考古学者のSongül Çoban氏によると、沈没船の発掘を完了するにはあと2か月はかかるそうだ。
沈没船は海抜よりも4から5m低いところで発見されており、1日8時間発掘調査し、極めて精密な発掘調査が求められていると氏は述べている。

イェニカプで発見された沈没船は、木材と積み荷の保存状態がほぼ完全な状態で発見された、世界でも唯一の例だと考えられている。
沈没船が発見された当初は、まず覆っていた泥を取り除き、最上部にあった破損していたアンフォラの土器片を1点ずつ取り上げていった。
その後、調査チームはその下にあった完形のアンフォラを取り上げた。
すべての遺物の取り上げが完了した後には、船体はイスタンブール大学に送られる予定だ。

船から発見された青銅製の釘が船の年代を解く鍵となった。
青銅の釘は4~5世紀に始まった船の建造にしようされたものと考えられている。
それより前の時代には一般的に木製の釘が使われていた。

船がどこから出発して、どこに向かっていたのか、船の航行ルートなどの情報については、積み荷から検証できるかもしれない。

イェニカプでは2004年の発掘開始後から、4万に及ぶ遺物が登録されており、15万点の遺物が研究され、これまで発見された土器を入れた箱は100万に及ぶという。
すべての断片は分類が行われ、可能であれば接合・復元作業も行っている。

35発見されている沈没船の内、30隻は商人の帆船で、5隻は漕ぎ手によって推進するガレー船だった。船は5世紀から11世紀のものまである。
調査には45人の考古学の専門家と265人のスタッフが携わっており、建築史、美術史の専門家も含まれている。
通常発掘といえば期間は数か月だが、イェニカプの発掘は7年間途切れることなく続いている。
遺物は様々な時代のものが含まれており、最も新しいものではオスマン朝期のものが出土している。
オスマン朝初期、ビザンツ帝国期、ローマ支配時代、古典期やキリスト教出現以前の時代のものも発見されている。

Best preserved shipwreck found at İstanbul’s Yenikapı


ラベル「西アジア」を含む記事

0 件のコメント:

コメントを投稿