2011/09/06

エジプト考古遺物の密輸が増加 税関や古美術商に注意喚起のための「レッド・リスト」作成へ

先日アメリカで3人が2000年前の古代エジプトの遺物をアラブ首長国連邦からアメリカに密輸したとして逮捕された。
この事件で密輸された遺物は、全部で250万ドルの価値があったという。

専門家らは、今回発見された密輸品は氷山の一角とみている。
カイロ・アメリカン大学のエジプト学教授で、古代エジプトの動物考古学の専門家であるSalima Ikram氏は、エジプトの様々な遺跡で密輸が横行しており、最後にはヨーロッパ、アメリカ、湾岸諸国の一部の考古遺物の密売業者の手に渡っていると述べている。

「どんな遺物も、そのコンテクストから切り離してしまうと、遺物の持つ意味が失われてしまう」とIkram氏は述べている。
「そして違法に遺物を移動してしまうと、遺物自体やその周りのものまでも情報が失われてしまう。つまり、エジプトの歴史の一部が、永遠に失われてしまうのです」

国際博物館会議(ICOM)のFrance Desmarais氏によると、今年1月と2月のエジプトにおける政情不安で、古代の遺物の盗掘や密輸が著しく増えているそうだ。
公的には、革命以後に54の遺物が失われていると伝えられているが、Desmarais氏は盗掘活動や密輸がこれで終わりのはずがないと考えている。

国際博物館会議は考古遺物を狙った窃盗犯の脅威にさらされている遺物の「レッド・リスト」を作成することを決定した。
エジプトのレッド・リスト会議は、エジプト考古庁と国際博物館会議の専門家、国外・国内の専門家によって構成されており、違法に売買が行われる危険の高い文化遺産のカテゴリー・タイプが記されている。

「"脅威にさらされているエジプト文化遺産の緊急レッド・リスト"は、盗難された遺物のリストではない。エジプト国内および国際的な法律によって保護され、かつ違法に持ち出され、取引が行われる危険が高い遺物のカテゴリーが記されたリストである」とDesmarais氏は説明している。

リストは税関や世界中の古美術品のマーケットに配られ、税関職員や古美術商に違法な遺物の流通に対する注意を喚起するための、一種のチェックリストとして機能することを目的としている。

Ikram氏はレッド・リスト会議のメンバーであり、このリストによって密輸業者が遺物を秘密裡に持ち出し、海外に売り飛ばすことが難しくなるのでは、と期待している。

レッド・リストは11月に配布される。
同時に、遺跡での盗掘を防ぐその他の国際的な取り組みも進行中のようだ。

International smugglers increasingly target Egypt's artifacts



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