2011/08/31

9000年前にはすでに馬が家畜化されていた? アラビア半島の遺跡で発見

アラビア半島で9000年前の馬の家畜化の痕跡を示す遺跡が発掘された。
アル・マカルという遺跡から発見されたもので、馬の家畜化が初めて行われたのは5500年前の中央アジアだと言われていたため、それよりも3500年も古いことになる

2011/08/29

古代エジプト人はヘア・ジェルのようなものを使っていた ミイラの頭髪の分析結果

古代エジプト人は脂肪を用いた整髪料を使って髪を整えていたことが、ミイラの分析から判明した。
生前・死後も髪型を維持するために、ヘア・ジェルのようなものを使っていたのである。
王家の谷35号墓から発見された女性のミイラ

イギリス・マンチェスター大学でミイラの研究をしているNatalie McCreesh氏らは18のミイラから髪のサンプルを取得して分析した。

2011/08/27

グラウンド・ゼロで発見された遺物の展示を開催 アメリカ・ペンシルヴァニア大学


アメリカ・ペンシルヴァニア大学では、9.11の10周年を記念して、グラウンド・ゼロで発見された遺物の展示を行っている。
単なる日用品が、事件の記憶を湧き起こすシンボルとなっている。

展示のタイトルは「Excavating Ground Zero(グラウンド・ゼロを発掘する)」で、ペンシルヴァニア考古学・人類学博物館で開催されている。
15の展示物があり、壊れたメガネ、来訪者のバッジ、ほとんど原型の無いコンピュータのキーボード、辞書のページ、完全な状態のクリスマスの飾り、よじれた布切れのようにねじまがった拡声器などが含まれている。
これらの遺物が公の場に展示されるのは初めてであり、2012年の9月11日にワールドトレードセンタービルがかつてあった場所にオープンする予定の博物館で展示されるために選別されたもの。

2011/08/26

中世のペスト大流行の原因はネズミではなかった?


14世紀のヨーロッパではペストの大流行により、全人口の三割が命を落とした。
高い致死性を持っていた事や罹患すると皮膚が黒くなる事から黒死病と呼ばれ、恐れられた。
ペストはネズミなどのげっ歯類を媒介にして流行するといわれていた。

しかし、1348年末から1349年のロンドンで猛威を振るったペストの調査によって、ネズミが悪者だったわけではない、という説が出されている。

2011/08/23

トルコの古代都市トロスで古代ローマ皇帝の彫像を発見


トルコ・ムーラ県のフェトヒエにある古代の都市トロス遺跡で古代ローマの皇帝達の彫像が発見された。

発掘を指揮しているTaner Korkut氏によると、発見された彫像はハドリアヌス、アントニウス・ピウスと娘の小ファウスティナ、マルクス・アウレリウス、女神イシスなどのものがあった。

2011/08/22

古代エジプト・ハトシェプスト女王の小瓶から発癌性物質を発見


ドイツ・ボン大学の研究者が、3500年前の古代エジプトを支配したファラオ、ハトシェプスト女王のものとされているローションの小瓶から、発癌性の物質を検出した。
ハトシェプスト女王は、意図的ではないにせよ、自分自身に毒をもっていたことになるかもしれない。

ボン大学の研究者は2年かけて小瓶の中にあった乾燥した内容物の分析を行ってきた。
小瓶はエジプト考古学博物館所蔵のもので、碑文にはハトシェプスト女王のものであることが刻まれている。

2011/08/21

リビアの古代文明で人為的な穿孔を受けた頭蓋骨が発見される


北部アフリカで古代のガラマンテス文明の遺跡で発見された3つの頭蓋骨に、意図的に行われた穿孔やくぼみがあることが、イギリス・ケンブリッジ大学の人類学者Efthymia Nikita氏らによる調査で分かった。
穿孔やくぼみは怪我に対する処置なのか、もしくは別の医療に関する目的で行われたのかは今のところわかっていない。

ガラマンテスとは、現在のリビアのサハラ砂漠にあたる場所に3100年前から1400年前まで栄えたベルベル人の文明で、優れた灌漑技術を有していた。
ガラマンテスに関する文字資料は乏しく、ガラマンテスという名前自体もギリシア語からきており、多くの情報は古代ギリシア・ローマから来ている。
近年発掘調査が行われているものの、その大部分は未だ手つかずの状態の、「謎の文明」である。

2011/08/19

北部イスラエルでヘラクレスの像を発見


北部イスラエルで、0.5mの白大理石のヘラクレス像が発見された。
ローマ様式の浴場のアルコーブ(壁のへこみ)に飾られていたものと考えられている。
紀元後2世紀に年代づけられるもので、極めて質の高いものだという。

2011/08/18

トルコ南西部でヘレニズム期の劇場を発見


トルコ・マグラ県の南西にあるボドラム(Bodrum)で紀元前400年に建設された古代の劇場が発見された。

トルコ・ウルダグ大学考古学科のDerya Sahin博士によると、劇場は古代ギリシアの都市ミンドスの発掘中に確認されたもの。
劇場はヘレニズム期に属するもので、巨大なものであるとSahin博士は述べている。

アフロディーテ像と神の眼のモザイク出土 トルコ・デニズリ県


トルコ・デニズリ県は付近の温泉石灰華段丘の丘陵地で世界遺産のパムッカレやローマ帝国の温泉保養地ヒエラポリス遺跡、リュコスのラオディケアなどの自然・文化遺産がある場所である。
この地域で2つの遺跡から重要な発見があった。
トルコ・ラオディケアの遺跡
カレ地区はアレクサンドロス大王の側近が建設したとされるタバエの城塞がある。
カレ地区での発掘調査で、アフロディーテがモチーフと考えられるローマ時代の彫像が偶然見つかった。

一方で、ラオディケアの教会では1600年前のモザイクが発見された。
モザイクのデザインは神の眼を象徴するものだという。

2011/08/16

3000枚以上の古代の硬貨を海中で発見 シチリア


シチリア海峡のパンテッレリーア島で3422枚の古代の青銅製硬貨が海中から発見された。
発見された青銅の硬貨
水中の遺跡観光のために行われたダイビング調査の途中に偶然発見されたもので、紀元前264年から241年のもので構成されていた。

シチリア島の110km南西に位置するパンテッレリーア島はその時代、ローマとカルタゴの不和の原因となっていた。

ローマ人は紀元前255年の第一次ポエニ戦争でこの島を占領したが、翌年には失っている。
紀元前217年の第二次ポエニ戦争では、最終的にローマが島を奪取し、記念コインや記念日を作ってその勝利を祝ったという。

2011/08/15

1100年前のヴァイキング虐殺の考古学的証拠 イギリス・オックスフォード


1100年前のヴァイキング虐殺の証拠が、オックスフォードで発見されていた。
少なくとも35体の人骨があり、全員男性で16~25歳ほど、オックスフォード大学のセント・ジョーンズ・カレッジで2008年に見つかった。
CREDIT: BBC
出土品の分析から、これらが1002年のもので、エゼルレッド無策王がイングランドのデーン人(ヴァイキング)虐殺の命令を下した時のものと考えられている。

2011/08/14

地球温暖化による洪水が1000年続く寺院を襲う ネパール


ネパールの北西にあるフムラ地区の、さらに北西端にハルジという村がある。
村には1000年前からあるチベット仏教の寺院があり、世界遺産のポテンシャル・サイトとなっている。

しかし、この村は今年の6月30日に起こった氷河湖の決壊によって、400人もの住民が住むところを失ってしまった。
村に押し寄せた洪水の様子
午後4:30頃、谷の上方から大きな地鳴りが聞こえ、住人は家から避難した。
最初は、1ヶ月前に完成した堤防が荒れ狂う濁流を抑えていたが、水と大きな礫はすぐに堤防を乗り越えて村にとてつもない力で押し寄せた。

2011/08/13

「マルコ・ポーロは東方に来ていなかった」説


マルコ・ポーロ(1254年9月15日 - 1324年1月8日)は、ヴェネツィア共和国の商人であり、ヨーロッパへ中央アジアや中国を紹介した『東方見聞録』を口述した人物である。
マルコ・ポーロによる旅の記録は、中世ヨーロッパの人々に中国やシルクロードのエキゾチックな世界を紹介したことで、歴史上偉大な探検家としてその名をとどめるに至った。
マルコ・ポーロの肖像
しかしながら、マルコ・ポーロが中国にも到達しておらず、伝説に残っているようにパスタをイタリアにもたらしたとは到底思われない、という研究結果が提出されている。
むしろ、彼の話は黒海で会ったペルシア人の商人から、中国、日本、モンゴル帝国について聞いた、又聞きの物語であり、他の情報をつなぎ合わせて「東方見聞録」を完成させたというのだ。

2011/08/12

エジプト北部で古代エジプト末期のステラを発見

エジプト北部のイスマイーリアにあるテル・ダフナ(Tell Dafna)遺跡で、第26王朝のファラオ・アプリエス(ウアフイブラー)のステラが発見された。

ステラは赤色の砂岩製で2つの断片で発見されており、ウアフイブラーの王名が刻まれていた。

ハワイの海に沈む第2次世界大戦の遺産


米国海洋大気庁(NOAA)とハワイ大学はハワイ・マウイ島の南岸に沈んだ第2次世界大戦時代の飛行機と沈没船の調査を完了した。

調査チームは6つの残骸の図面作成と写真撮影を行った。
残骸は艦載爆撃機(SB2C-1C Helldiver)、艦載戦闘機(F6F Hellcat)、3台の水陸両用の攻撃車両(LVT-4 and LVTA-4s)、内2台は75㎜榴弾砲を搭載していたものだった。
攻撃車両(LVT-4)の残骸 CREDIT: NOAA

記録は残骸の劣化状況を評価するのに利用され、また遺物が移動もしくは失われてしまった場合に位置を特定するのに役立つ。

2011/08/11

新ヒッタイトのライオン像が完全な状態で発見される トルコ

トロント大学の調査隊がトルコ南西部で石像によって飾られた新ヒッタイト(シリア=ヒッタイト)の建造物の門が発見された。
CREDIT: University of Toronto

石像には、精巧に彫られた完全な状態のライオンの像も含まれていた。
門は新ヒッタイトの王国パティナ(紀元前950年~前725年頃)の首都であるクヌルアの城塞への入口であり、ヒッタイト帝国の都市カルケミシュで1911年にイギリスの考古学者Leonard Woolley卿によって発見された城塞の門を彷彿とさせる。

2011/08/10

スーダンの古代都市メロエで最古の建造物を発見 初期の宮殿か

世界遺産となったスーダンの古代都市メロエで、建造物の遺構が発見された。
発見された構造物は一部しか明らかになっていないが、おそらく古代の王宮と思われるもので、後世の王宮の下から発見された。
この構造物は、これまでにメロエで発見されている建造物の中でも古い段階のものだという。
CREDIT: Royal Ontario Museum

メロエは2000年間にわたってナイル川流域に栄えたクシュ王国の首都であった。
クシュ王国は紀元前8世紀から紀元後4世紀にかけて栄え、一時はエジプトを含め、ナイル川流域の地中海沿岸部からアフリカ中央部にかけて支配した強大な国だった。
クシュ王国の王は古代エジプト第25王朝のファラオとして君臨し、紀元前671年にアッシリアのエサルハドン王によって追い出されるまで、約1世紀にわたってエジプトを支配した。
メロエの人々はピラミッドを築いており、メロエ文字と呼ばれる、現在でも完全には解読されていない文字を用いていた。

2011/08/09

イングランド全土の考古学マップ作製に着手 オックスフォード大学

オックスフォード大学考古学部はイングランド全土に及ぶ先史時代の考古学マップ作製に着手した。

「Portal to the Past」プロジェクトと呼ばれるもので、各地域の紀元前1500年前の青銅器時代から1086年のドゥームズデイ・ブックの時代まで1500年間にわたる情報をインターネットで閲覧することができる。
(ドゥームズデイ・ブックはイングランドを征服したウィリアム1世による検地の結果を記録した世界初の土地台帳)

プロジェクトを率いているChris Gosden教授は、歴史に関する検索内容で、地元の情報が祖先の情報に次いで人気があるという。
しかしながら、今のところキリスト教の教区で管理されている記録は1000年程前までしかわからない。

5年間のプロジェクトで、180万ポンドの費用が投じられる。
マップ作製のために全ての利用可能なデータをデジタル・アーカイブ化し、先史時代のイングランドに関する情報を可能な限り多く収集する予定。

2011/08/08

スペインの「無敵艦隊」の沈没船発見か アイルランド沖


アイルランド北西部ドニゴール州バートンポートの沖でスペインの無敵艦隊(アルマダ)のものと思われる沈没船が発見された。

ダイバーによる海底の調査で発見されたもので、16世紀の船であることがわかり、おそらく1588年の「アルマダの海戦」によるものだという。
アルマダの海戦を描いた絵画

「アルマダの海戦」はスペイン無敵艦隊のイングランド侵攻で、1588年に英仏海峡で行われた諸海戦の総称。

2011/08/07

イヌと人間の最初期の関係 シベリアで発見された3万年前のイヌの頭蓋骨が語る

シベリア・アルタイ山脈にある洞窟で33000年前の保存状態良好なイヌ科の頭蓋骨が発見された。
イヌの人間による家畜化に関する証拠でこれまで見つかっている中でも最初期のものになる。ロシアを中心とする考古学者の国際的チームが発見した。
発見されたイヌの頭蓋骨
頭蓋骨は氷河期のピークより少し前のものであり、現代のイヌやオオカミとは異なっている。
鼻の大きさはグリーンランドで発見された1000年前の完全に家畜化されたイヌと変わらないが、大きな歯は31000年前のヨーロッパの野生のオオカミに似ていた。

2011/08/06

世界遺産の要塞都市ゴールでオランダ統治時代の部屋を発見 スリランカ


スリランカ南西の先端部にあるオランダ植民地時代の城塞都市ゴールで、これまで知られていなかった部屋が発見された。
部屋は時計塔の基礎の下にあり、何世紀にも渡って密閉されたままの状態だった。
要塞都市ゴールの空からの写真
牢獄、もしくは武器庫として使用されたと考えられている。
部屋の中には2つの個室があり、壁はサンゴ、石灰、粘土によって作られていた。

2011/08/05

トルコ・イスタンブールのバザールで遺物を販売 容疑者を逮捕

イスタンブールのグランド・バザールで400年前の写本と2000年前のローマ時代の皿を売ろうとしていた人物が逮捕された。
イスタンブールのグランド・バザールの風景
警察は81の写本とローマ時代の古代の皿5枚、ミンバー(モスクの説教壇)を覆う刺しゅうが施された布3枚を押収した。
中には400年前の手書きのコーランの写本もあった。

2011/08/04

メキシコの洞窟で先スペイン期のミイラ化した遺体発見

メキシコのチフアフア州タラフマラ・シエラにあるクエボ・エル・ギガンテ(Cueva El Gigante、巨人の洞窟という意味)で、2つの部分的にミイラ化した遺体が発見された。
昨年末にもミイラが同じ場所でみつかっている。このミイラは「走る民」と呼ばれるメキシコの山岳民族・ララムリの祖先と考えられている。
ミイラの出土状況 Credit: Enrique Chacón/INAH
専門家によれば、ミイラは800~1000年前のもので、先スペイン期の埋葬地の一部であるとのこと。
2010年から2011年にかけて、10体のミイラと13体分の人骨がこの洞窟で発見されている。
昨年3人の民間人がミイラを発見し、国立人類学・歴史研究所の専門家による調査が始められていた。

ヨーロッパ男性の約半数がツタンカーメンと共通するDNAを持つ

ヨーロッパの男性の約半数がエジプト新王国時代のファラオ、ツタンカーメンと同じ遺伝子を持つことが、スイスの遺伝子学者の分析で明らかになった。

チューリヒに拠点を置く遺伝子系図研究所「iGENEA」は、9歳で即位した少年王ツタンカーメンと、その父アクエンアテン、祖父のアメンヘテプ3世のミイラから遺伝子プロファイルを再現した。
ツタンカーメンの黄金のマスク
分析の結果、ツタンカーメンは「ハプログループ R1b1a2」として知られるグループに属しており、ヨーロッパの男性の50%以上がこのグループに属している。
この結果は、共通の祖先をもっていることを意味する。
なんと、現代のエジプト人でこのハプログループに属するのは1%未満だという。

2011/08/03

イラン南東部でアケメネス朝ペルシア帝国の宮殿を発見


イラン南東部のシスタン・バルチェスタン州にあるダハナ・ゴラマン(Dahaneh Gholaman)遺跡でアケメネス朝(紀元前550~前330年)の宮殿が発見された。
発見された宮殿跡 Credit: Press TV
世界遺産になっているペルセポリス(タフテ・ジャムシード)やパサルダガダエのアケメネス朝の宮殿とダハナ・ゴラマン遺跡の構造物を比較することで、アケメネス朝時代のものであるということがわかった、と発掘の主任を務めるKourosh Mohammadkhani氏が述べている。

2011/08/02

世界最古の分度器? 古代エジプトの建築家の副葬品

Credit: New Scientist
写真にある奇妙な遺物は、古代エジプトの建築家の墓から発見されたものだ。
100年間に渡って、エジプト学者はその用途について議論してきた。

1人の物理学者がその議論に参戦した。
トリノ技術専門学校のAmelia Sparavignaという人物であり、彼女は、この遺物が世界で知られている最古の「分度器」という説を唱えている。

この説は、遺物の表面に刻まれた彫刻の解釈に基づいている。

2011/08/01

古代エトルリアの祭祀遺跡を発見 イタリア

イタリアで、3000年前に古代エトルリア人が神々を崇め、捧げものを燃やしていた聖域の遺跡が発見された。
遺跡はローマの北約80km、ヴィテルボ市の近くにあるチミーノ山に位置している。
ラ・サピエンツァ大学の発掘の様子
ローマのラ・サピエンツァ大学のAndrea Cardarelli教授に率いられた考古学者のチームは、3年間に渡ってこの標高約1000mにある丘陵の調査を行ってきた。