2011/08/07

イヌと人間の最初期の関係 シベリアで発見された3万年前のイヌの頭蓋骨が語る

シベリア・アルタイ山脈にある洞窟で33000年前の保存状態良好なイヌ科の頭蓋骨が発見された。
イヌの人間による家畜化に関する証拠でこれまで見つかっている中でも最初期のものになる。ロシアを中心とする考古学者の国際的チームが発見した。
発見されたイヌの頭蓋骨
頭蓋骨は氷河期のピークより少し前のものであり、現代のイヌやオオカミとは異なっている。
鼻の大きさはグリーンランドで発見された1000年前の完全に家畜化されたイヌと変わらないが、大きな歯は31000年前のヨーロッパの野生のオオカミに似ていた。

このことから、発見されたイヌは家畜化の非常に初期の段階であると言える、と進化生物学者のSusan Crockford博士は述べている。
「オオカミは意図的に家畜化されたわけではない。オオカミがイヌへと移行したのは、自然なものだった」

しかし、この変化には一地域に居住した人類の集団が必要となる。
「この時期には、人類は多くの動物を狩猟しており、大量の骨が廃棄されていた。それがオオカミを引き付けたのだろう」と博士は説明している。

好奇心が強く、恐ろしくないオオカミは短く幅の広い鼻、小さく間隔が短い歯など、子供のような特徴を持つ傾向があり、何世代にも渡ることでこの特徴が家畜化されたイヌの輪郭となっていった。

初期のイヌは、人間のゴミを片付けてくれたり、クマなどの猛獣対策にもなるので、人類にとって便利な存在だっただろう。
しかし、氷河期の後、10000年間に渡って、人間集団の中で鍵となる存在になっていった、とオックスフォード大学のThomas Higham教授は考えている。
「狩猟犬の存在は、あっという間に狩猟の形を変えてしまう。狩猟犬がいる狩人は、一人の狩人よりもはるかに優れている」と教授は述べている

しかしながら、興味深いことにこのシベリアで発見されたイヌの種類は絶滅してしまっている。
人類は氷河期の最も厳しい時期を通じてアルタイ山脈に住み続けたが、イヌとは一緒だったわけではないようだ。

氷河期の進行によって、人々はより多く移動生活をするようになった。
そのため家畜化の過程は一旦ストップし、オオカミと人類がいがみ合う状態に戻ってしまった、とCrockford博士は述べている。

この研究論文はWEB上で公開されている。リンクはこちら

Ancient dog skull unearthed in Siberia
ラベル「動物考古学」を含む記事

0 件のコメント:

コメントを投稿