2011/08/21

リビアの古代文明で人為的な穿孔を受けた頭蓋骨が発見される


北部アフリカで古代のガラマンテス文明の遺跡で発見された3つの頭蓋骨に、意図的に行われた穿孔やくぼみがあることが、イギリス・ケンブリッジ大学の人類学者Efthymia Nikita氏らによる調査で分かった。
穿孔やくぼみは怪我に対する処置なのか、もしくは別の医療に関する目的で行われたのかは今のところわかっていない。

ガラマンテスとは、現在のリビアのサハラ砂漠にあたる場所に3100年前から1400年前まで栄えたベルベル人の文明で、優れた灌漑技術を有していた。
ガラマンテスに関する文字資料は乏しく、ガラマンテスという名前自体もギリシア語からきており、多くの情報は古代ギリシア・ローマから来ている。
近年発掘調査が行われているものの、その大部分は未だ手つかずの状態の、「謎の文明」である。

頭蓋骨の穿孔の縁には新たに骨が成長している跡が見られ、手術後も生き続けていたことを示している。
頭蓋骨は男性のもので、およそ2000年前のものだという。

数千年前の北アフリカでは広い範囲で交易活動が行われていたことを考えると、「頭蓋骨の外科手術の技術が人々の間で広がっていたに違いない」とNikita氏は述べている。

これまでアフリカ北部で行われていた発掘では、頭蓋骨に対する削り、切開、穿孔の痕跡を示す人の頭蓋骨の破片が発見されていた。
信憑性は乏しいが、現在のモロッコにあたる場所では、13000年前に外科手術が行われていたといわれている。
古代エジプト人は4000年ほど前からこの技術がはじめられており、南米の1000年前の先インカ期に生きていた人々も実践していた。
アフリカ北部では今でも怪我や病気からくる頭痛に対する処置として、頭部穿孔が行っている人々がいるという。

Nikita氏の調査チームは、ガラマンテス文明の首都であったガラマの近くにある村で1950年代に発掘された人骨の調査を行っていた。
その内の3人に2~3cm大の穴が発見され、削りによるへこみも見られた。

頭骨に対するこのダメージの分析結果から、病気、骨をかじる動物によるもの、不慮の事故もしくは意図的な打撃によるものである可能性は除外された。
穿孔が頭蓋骨の縫合線を避けてヒビもなくあけられていることから、拷問や暴力によるものとは考えられない。
しかし、頭部穿孔の理由は不明のままだ。

Ancient Saharan head cases


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