2011/08/14

地球温暖化による洪水が1000年続く寺院を襲う ネパール


ネパールの北西にあるフムラ地区の、さらに北西端にハルジという村がある。
村には1000年前からあるチベット仏教の寺院があり、世界遺産のポテンシャル・サイトとなっている。

しかし、この村は今年の6月30日に起こった氷河湖の決壊によって、400人もの住民が住むところを失ってしまった。
村に押し寄せた洪水の様子
午後4:30頃、谷の上方から大きな地鳴りが聞こえ、住人は家から避難した。
最初は、1ヶ月前に完成した堤防が荒れ狂う濁流を抑えていたが、水と大きな礫はすぐに堤防を乗り越えて村にとてつもない力で押し寄せた。


谷の地すべりによって水はほとんど黒い色をしていたという。
村人達は避難し、自分達の持ち物を持っていくことができたが、彼らの家と畑は流されていくのを見ていることしかできなかった。

幸運なことに、死者は1人もでなかったが、家畜の一部は洪水で流されてしまった。
中には、すべての畑を失った人もいる。

この被害は、ハルジ村の上にある山の「氷河湖決壊洪水」が原因だった。
地球温暖化の影響で、ヒマラヤ山脈にある氷河湖の水位は危険なレベルまで上昇しており、壊滅的な洪水を招きかねない。
ハルジ村を襲った洪水は2006年から数えて5回目であり、毎年6月末のほとんど同じ日に起こっている。

5つの氷河湖がチベットのグルラ・マンダタ山の斜面にあり、川へと流れ込んでいる。
しかし、洪水は氷河の下に隠れた別の氷河湖によって起こる。
2009年の洪水の後、氷河に上った村人の証言では、氷河湖の一部は厚さ20~25mある巨大な氷のシートに覆われているという。
この一部が崩壊して氷河湖に流れ込み、水があふれるに至ったのである。

ハルジ村は11世紀のリンチェンリン寺院の周りにできた村であり、ネパールでは最古級のもので、世界遺産のポテンシャル・サイトとなっている。
谷の景観の美しさやヒマラヤの巡礼路の終点であるカイラス山への通り道にあるため、トレッキング旅行者にも人気の目的地となりつつある。
村と、1000年の歴史を持つ寺院が今、洪水の危険にさらされているのである。

If this is what a small glacial lake  flood can do, imagine a big one


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