2011/05/07

コメ栽培種の起源 遺伝学的研究による新展開

ニューヨーク大学のMichael Purugganan教授らは、世界のコメの栽培種の起源は中国の1つの地域にあるという研究成果を提出した。

コメの栽培種はインドと中国の両方で生まれたとこれまで考えられていた。

大規模な遺伝子のリシーケンスによって、Purugganan教授とその研究チームは、コメの栽培種が9000年前の長江流域で生まれたことを突きとめた。

日本の短粒種(ジャポニカ種)
現在世界中にあるコメの種類は何万とあるが、その多くはジャポニカ種とインディカ種の2つに大別される。これらは、アジア由来のコメの種、オリザ・サティバの亜種である。

この2つの栽培種が、単一の種に由来するのか、もしくは中国とインドの両方で個別に栽培種へと変化を遂げたのか、についてはこれまで議論が行われてきた。

栽培種の起源が単一ではなく複数あるという学説は、近年優勢となっていた。
生物学者によってインディカ種とジャポニカ種には重要な遺伝的差異が認められており、コメの種間での進化の関係を対象とする研究でも、インドと中国で栽培種化が進んだことが示されていた。

しかしながら、Purugganan教授らは、コンピュータによる遺伝子の解析の結果から、2つの種が異なる野生種から進化したとは考えられないほど、2つの種の結びつきが強いと述べており、単一の種が起源であることを主張している。

「コメは交易を行っている者や移住してきた農耕民によって、中国からインドへもたらされ、急激に現地の野生種と交配が起こったようだ。これまでインド原産と考えられていた栽培種は、実際には中国に起源があった」とPurugganan教授は述べている。

「穀物は食料とその他の日用品を人類の社会に供給しており、文化的な背景の中で進化を遂げてきた植物種。穀物は集中的な淘汰圧の結果、急速に分化が進んだ種の典型なので、生物の進化に関する研究の対象としては魅力的なものだ。また、穀物の研究は遺伝子、進化、人間の文化のダイナミックな関係を教えてくれる」

0 件のコメント:

コメントを投稿