2011/05/14

マオリ族のミイラの首 フランスからニュージーランドへ返還される

フランスにある、刺青が施されたマオリ族のミイラの頭部がニュージーランドへ返却される。
ミイラの返還には、現代のマオリ族による、先祖を本来の土地へ返すための長年の奮闘が背景にあった。

マオリ族の宗教的リーダーは返還を祝して伝統的な祈りを朗唱し、1875年以降ミイラの頭部「トイ・モコ(Toi Moko)」が保管されていたフランス・ルーアンの自然歴史博物館職員と、鼻をこすりつけ合ったという。
ミイラの首は、個人のコレクターが寄贈したものだった。
ミイラの首は戦闘で死んだマオリ族の戦士の頭と信じられており、ニュージーランドへ返却予定の16ある頭部の内の1つである。

「トイ・モコは一般の人々にとっては目を楽しませる珍品だが、私達にとっては先祖である」とマオリの宗教的リーダーでウェリントンのテ・パパ・トンガレワ博物館の理事であるMichelle Hippolyte氏は語っている。この博物館にミイラの首は運び込まれた。


マオリ族の古写真
マオリ族はニュージーランドにイギリス人が入植する前から先住していた人々。
人類学的・文化的にはポリネシア人に分類される。
考古学的見地から、ポリネシア地域のクック諸島、またはタヒチが起源とされる。
マオリ族の神話では、伝説的な航海者クペが「ハワイキ」から来航し、再びハワイキに戻って島の存在を伝えた。その後7艘のカヌーに分乗して入植が行われたとされている。マオリ族のニュージーランドの発見と入植の歴史を反映しているようで、興味深い。

トイ・モコは18世紀に探検家らによって発見された後、ヨーロッパのコレクターや探検家によって持ち出されていった。
刺青によるマークは一般の人々か、戦士に施されるのが普通だが、ヨーロッパ人からの需要が高まったために、マオリの奴隷に刺青を施し、その後首を切った例もあるという。

ニュージーランドは1980年代からミイラ頭部の返還を求めており、フランスでは2007年に議論がクローズアップされてきた。
その時にトイ・モコの返還でイニシアチブをとったのが、ルーアン市だった。

フランス政府は当初重要な考古遺物の散逸を防ぐために当初反対していたが、ドイツ、スイス、オーストラリアなど多くの国が、こうした文化的に問題となりやすい遺物の返還に賛成していった。

ミイラ頭部はニュージーランドへ返還された後に、専門家によって刺青のマークを調査し、この頭が戦士のものかどうか、または商品として刺青が死後入れられたものではないかについて明らかにする予定である。

その後、頭部はマオリ族の伝統的な葬式が行われ、母国に埋葬される。

France returns first Maori head to New Zealand
トイ・モコの写真引用元も上記リンク

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