2011/05/14

キューバの海の底に眠る謎の「失われた文明」

カリブ海のキューバの位置
1950年代に、キューバのダイバーがキューバ西部の海の底でネイティブ・アメリカンのものと思われる文明の痕跡を発見した。
これはキューバに紀元後900年頃に南アメリカから移住してきたタイノ族とは明らかに異なり、より発達した文明であった。
キューバはフロリダ最南端の島々やユカタン半島からも近いことから、アメリカ地域の穀物、人、情報の流通の場として機能しており、この文明はその証拠であるという仮説がキューバの考古学者によって提示されている。


1990年代にはロシア系カナダ人の海洋学エンジニアPaulina Zelitsky氏が水中カメラを用いて海面下2200フィート(667m)にある構造物を撮影した。
構造物はピラミッドや広場、墳丘、テラス状のものがあったという。

ソナーによる調査結果から復元した海底のイメージ
2001年5月には、キューバ海底のソナーによる調査が実施された。
その結果、整然と並べられた石造の建造物、幾何学的な形状が計測されている。
自然ではありえない形状であり、明らかに人工物であると結論付けられている。

2002年の11月にはナショナル・ジオグラフィックにこの発見に関する記事が載り、この遺跡を6000年前のものと推測している。
しかしながら、この年代に関して未だ科学的な証明はなされていない。年代測定に利用できるような明確な構造物が得られてないのである。
記事では、古代の人間でしか、このような大規模な建造物を建設することはないと推測されている。
その後、この海中の構造物に関する調査はほとんど行われていなかった。

この10年間では、人類学者による研究によって、キューバが古代の発達した先住民文化の交差点であったという仮説が裏付けられている。
2005年には、アラバマ大学がキューバの考古学者と共同でいくつかの遺跡の調査を実施している。
その結果、スペイン人による侵略の前は、キューバの先住民はすぐれた農耕民であり、いくつかの石造の建造物を構築してはいたものの、小さな集落を構成する傾向があり、環境と共生する暮らしを続けていたことが判った。

キューバ西部にある海中遺跡の包括的な考古学調査が実施されない限り、失われた古代文明の存在は仮説にすぎない。
キューバ経済は変容しつつあるが、こうした大がかりな調査を実施する余裕はまだないようである。
アラバマ大学との共同調査は今後も行われる可能性が高く、他大学も参加する可能性があるという。
今後の研究の進展が待たれる。




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