2011/05/11

海賊キャプテン・キッドの沈没船が水中博物館へ

キャプテン・キッドの肖像
ウィリアム・キッドは1645年にスコットランドで生まれた海賊船の船長であり、「キャプテン・キッド」という名で有名だ。

キッドは当初海賊退治とフランス船の略奪を目的としていたが、英国以外の船ならどの船でも略奪するようになってしまい、喧嘩の末船員を殺害してからは本格的に海賊として海に乗り出すようになった。

最後はニューヨークで拘束され、イギリスに護送された後に海賊行為と船員の殺害容疑で投獄された。
1701年にはロンドンで絞首刑にされた。遺体はテムズ川の上の鉄製の檻に入れられ、2年間の間、見せしめとして放置された。

キッドは処刑直前に自分が隠した宝の在り処について話そうとしたが、そのまま処刑されてしまった。この逸話から、今もどこかにキャプテンキッドの財宝が眠っているという伝説が生まれ、数々のフィクションが生まれたのである。

2007年に、アメリカのインディアナ大学のチームによって、ドミニカ共和国のカサ・デ・カンポ沖にあるカタリーナ島近海で、キッドが海賊船として使用していたクェダ・マーチャント号とみられる沈没船が発見された。

その発見から3年が経って、現在はこの沈没船が、沈没した状況をそのまま残した「生きた博物館」となっている。
この水中博物館の落成式が、ロンドンでキャプテン・キッドが絞首刑にされて310周年記念となる5月23日に行われる。

地上と水中に解説のためのプレートが設置されており、水中のプレートはガイドのダイバーがキッドの船と周辺の残骸と珍しいサンゴ、他の2艘の沈没船を案内する際の手助けとなる。
観光のダイバー達は17世紀の船の残骸やいくつかの錨、何十もの大砲が海中に没しているのを見ることができる。これらの残骸はサンゴやその他の海中の生物の住処となっている。

Charles Beeker氏率いるインディアナ大学のチームは沈没船の発見以来、遺跡の保護、分析、記録を行っており、その成果は世界中で話題を呼んだ。この発見に対する人々の興味は次第に大きくなっていき、さまざまな人的・資金的サポートが得られるようになったという。

エコ・ツーリズムやユニークなツアーとして、この遺跡は注目を浴びつつある。
カリブの海賊の黄金時代に代表される17世紀海洋史とのつながりもあって、この水中博物館は魅力的な目的地となっている。

インディアナポリス子ども博物館の館長Jeffrey H. Patchen氏はこう語っている。
「我々の目的は、最も真実味のある体験を可能にすることだ。つまり、実物の考古学的遺跡に来て、実際の科学、実物の遺物、本当の専門的知識を訪問者が体験することである。このような特別な体験が子供たちの人生に感銘を与え、変容をもたらす。インディアナ大学による専門家のチームが、更なるカリブ海の歴史的に重要な沈没船を調査する機会が得られるよう願っている」

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