2011/04/18

キリストの磔に使用した釘 考古学者は「根拠なし」

キリストの磔刑で使用された釘が発見されたということで、その真正性について、議論が巻き起こっている。

カナダのユダヤ人映画監督シムチャ・ジャコボビッチ氏が、2本の錆びて折れ曲がった釘を持っており、彼がイェルサレムでの20年前の考古学的発掘で発見された遺物だと主張している。今月の下旬に放映されるヒストリー・チャンネルのドキュメンタリーでは、これらの釘が2000年前にキリストを十字架に打ちつけた釘であったことを証明する試みである。

「イエス・キリストの磔刑に使用された釘の発見は、これまででも最大の考古学的論争をもたらすだろう」とジャコボビッチ氏は述べている。

2つの釘は、1990年にイェルサレムの旧市街の南数マイルのところにある1世紀の墓から見つかった。釘は複数の骨壷とともに発見された。骨壷の内2つには、カイアファの名前が書かれており、この人物は大祭司で、キリストの磔刑の判決を行ったと新約聖書に書かれている。ジャコボビッチ氏はカイアファが死後の世界での聖なる加護を得ようとして、釘とともに埋葬されることを望んでいたと信じている。

墓から発見された釘は何年も前に失われていたが、ジャコボビッチ氏はテル・アビブで、法医人類学者が15年間研究を続けていた研究室でそれを見つけたと主張している。 ジャコボビッチ氏によると、考古局が釘を研究所に送ったのだという。

ジャコボビッチ氏の主張に対して、科学者のグループはきわめて懐疑的である。テル・アビブのバル・イラン大学の考古学者ゲイビー・バーケイは、ありがちなでっちあげとしてとりあっていない。

「これらの釘がカイアファの洞窟から来たとする証拠は何もない」と彼はいっている。「釘が何らかの骨と結びついていたり、もしくはその残滓が付着していた証拠は無く、カイアファがキリストの磔が行われ、十字架から引きおろされた後に釘を手に入れたとする史料も無い」

一方、イスラエルの考古局によると、釘は墓でよく見られる遺物であるという。

以前に、ジャコボビッチ氏はアトランティスがスペインで発見されたというドキュメンタリーにもかかわっていた。この番組は2010年にナショナル・ジオグラフィックで放映された。

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