2011/04/16

ペーパーレス調査 国際学会で注目

新しい技術が、長年行われてきた考古学の記録方法に革命を起こすかもしれない。

シンシナティ大学の研究者グループは「ペーパーレス・プロジェクト:ポンペイ発掘におけるiPadの利用(原題:The Paperless Project: The Use of iPads in the Excavations at Pompeii)」という題で、CAA(Computer Applications and Quantitative Methods in Archaeology、考古学におけるコンピュータ・アプリケーションと統計的手法の利用)の国際学会で発表を行った。


学会は2011年4月12日~16日、中国の北京で行われた。

iPad調査の実験はシンシナティ大学のSteven Ellis准教授、John Wallrodt助手によって行われ、ナショナル・ジオグラフィックとアップル社のウェブサイトでも紹介された。
これらの取材は、昨年の夏にポンペイ遺跡で行われたシンシナティ大学の調査に、6台のiPadを持ち込んだ様子を追ったものである。

シンシナティ大学は紀元後79年の火山の噴火によって埋もれたローマの都市の遺跡を10年以上に渡って調査している。
このプロジェクトでは、ポンペイの中でもにぎやかな場所だった、ポルタ・スタビアの住居や商店、商業活動に対して、徹底的な考古学的調査を実施している。
長年の手のかかる発掘調査の記録作業を通じて、失われた町の社会、文化の姿や、中流階級の隣人がいかにしてポンペイやローマの文化に影響を与えたかが明らかになりつつある。

考古学の調査における記録方法のスタンダードは、正確な測量、作図、メモであるが、これらは鉛筆と紙で行われる。この方法は300年の伝統がある。

昨年の夏ではしかし、研究者達は手持ちできるコンピュータとそのデジタルによる記録、即座に情報通信できる能力は数世紀にもわたって研ぎ澄まされてきた考古学の記録方法よりも優れた点が多くあることを発見した。

「トレンチ発掘の監督はとても忙しいので、トレンチ間の手で書いたノートを共有するには何日もかかるが、今では他の人が情報をほしければ、電子媒体で渡すことができる」

Wallrodt氏によると、新しい技術の導入によって、従来の大きな紙のシートで作図する作業を、iPadの画面上で実現することができるという。
「iPadは持ち運びしやすく、大きなボードも必要なければ、定規も計算機もいらない」

6月にある次のポンペイ調査では、さらに多くのiPadを導入する予定だという。

‘Paperless' research to be highlighted at international conference

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