2011/04/25

利き腕は50万年前からあった? 最新の研究成果

右利きは左利きより圧倒的に多く、その割合は9対1である。利き腕は人間の特徴でもあるが、人類の歴史の中でいつ頃から「右利き」が存在するようになったのだろうか?

この問いについて、研究者は古代の道具や、先史時代の絵、人骨などから調査を行ってきたが、まだ決定的な結論には至っていない。

カンザス大学の人類学教授David Frayerは、化石化した人骨の前歯を観察することで、右利きの存在が50万年前にさかのぼることを明らかにした。



はさみの左利き用(写真左)と右利き用(写真右)

彼の研究によれば、化石化した歯に残る顕著な痕跡が、先史時代の人類の右利き、左利きと対応しているという。
このような化石に見られる痕跡は、実験的な研究によっても裏付けられている。

利き腕が判明した最も古い化石は50万年前のもので、スペインのブルゴスの近くで発見された。ここからは、ヨーロッパのネアンデルタール人の先祖と考えられている人骨が発見されている。その他の分析資料も、ヨーロッパで発見されたネアンデルタール人のものである。

これらのマークは、口の前で行った活動で、石器が偶然唇側面をかすった時にできるものであると、Frayer氏は述べている。
このような深い引っかき傷は、一度のアクシデントで起こるものではなく、個人が生涯に渡って行った活動の結果であることを示しているそうだ。

分析の結果、資料中の93.1%が右利きだった。

「利き腕というのが50万年前に生まれてそれがネアンデルタール人まで続いていたと結論付けるのは、これらの化石資料からは難しい」とFrayer氏。「利き腕が、より最近のホモ・サピエンスよりも前の段階で存在していた、ということは言えるだろう」

Frayer氏によると、右利きの証拠は古代の人類が言語を話す能力を有していたかどうかを理解するための証拠になるという。なぜなら、言語の処理は主に左脳で行われており、左脳は右半身のコントロールを司っている。右利きと、言語には関係があるのだ。

「利き腕と脳の側性との一般的な一致は、人類が少なくとも50万年も前から、現代と変わらない形で側性化しており、その割合はその時から変わっていない。この側性がずっと古代にもつながっていて、言語が最近になってでてきたものではなく、きわめて不利ルーツを持つことを否定する根拠はないだろう」

New research suggests right-handedness prevailed 500,000 years ago

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