2011/04/14

南アメリカで最古の繊維 1万2000年前

4月に発刊されたCurrent Anthropology誌によると、南米ペルーの洞窟で布とロープの断片が発見され、1万2000年前のものであることが分かった。
これは南アメリカで最古の例となる。



遺物はアンデス山脈の高地にあるGuitarrero洞窟で30年前に発見されたもの。
布と一緒に発見された遺物は1万2000年前かそれより古いものであることはわかっていたが、布については年代を確かめておらず、議論の余地があった。

洞窟は人間や地質学的な活動によって頻繁に荒らされており、布は近年の居住者によるものである可能性があった。
さらに、以前の年代測定は骨、黒曜石、炭化物でおこなわれており、これらは時々不正確な年代を示すことが知られていた。
とりわけ炭化物は大幅に時代が異なることがあるという。

今回布の年代測定を行った結果、その年代の妥当性と、アンデス高地における初期の居住の時期を確かめることができた。
最新の加速器質量分析法による放射性炭素年代測定法が用いられており、布は120100~11080年前という値を示した。

布はおそらくバッグ、バスケット、壁もしくは地面の敷物またはベッドに利用されたと考えられる織物の断片が含まれていた。
研究者によれば、より標高の低い土地にいる人々が一時的に山へ入って居住していた際のものとされている。
Guitarrero洞窟の位置はアンデス高地の中では温暖な環境であり、より高い場所へ出向く場合のキャンプ地としては理想的な場所だったと考えられている。

こうした初期の山への進出が、11000年前より後の永住的な居住形態への基礎を築いたのだろう。その後、気候は温暖になり、氷河は引いて、人々はより高地への居住に適応する機会が得られた。

また、洞窟を利用していた者の中には女性がいた可能性が指摘されている。植物の繊維の束が洞窟から発見されており、布を織る作業がここで行われてたことを示している。
他の文化において、布やバスケットの製作は女性が行っていたという例が多いからだ。このような初期の高地への進出は男だけで行われたという推測はあるが、そうではないかもしれない。
しかしそれを証明するには、まだ多くのことを明らかにしなければならないだろう。


Edward A. Jolie, Thomas F. Lynch, Phil R. Geib, and J. M. Adovasio, "Cordage, Textiles, and the Late Pleistocene Peopling of the Andes." Current Anthropology 42:2 (April 2011)

元の記事
Carbon dating identifies South America's oldest textiles

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