2011/04/15

トピック:現代でもソクラテスが通用する10の理由

ソクラテスがアテネの通りで彼の哲学を説き、雄弁に語ったのは今から2500年も前のことである。しかし、ソクラテスの言葉やアイデアは21世紀においても真実の響きを持っている。なぜだろうか?



ソクラテスが現代においても重要性を帯びる、10の理由について、HeritageKeyのMalcolmJ氏が記事を書いている。

1.決して時代遅れにならない。

20世紀の著名な哲学者、A.N.ホワイトヘッドの有名な言葉がある。
「ヨーロッパの哲学伝統の特徴を挙げるとしたら、プラトンへの参照の連続によって構成されているということだ」
ホワイトヘッドは冗談交じりでいっているのだが、その意味するところは明白だ。
ソクラテスとその弟子たちの理論は、現代の西洋哲学の考え方の土台になっているのだ。

2.何事も疑えということを教えてくれた。

人間の知性の最も高等なあり方は、自分と他人に問いかけることだ、とソクラテスはかつて言っていた。
問題を、違う考えをもっているが真実を求めているという点では同じ2、3人による対話へ分解していく方法で憶測ではなく全てを吟味することを我々に教え、どちらかに進むべきかを示すためのシステムを提供してくれている。

これは、現在の科学的研究の鍵となる要素として今も残っている。仮説より始め、決定的な結論に達するまで精査し続けるという姿勢である。

3.幸福がなければ、人生は無価値、ということを教えてくれている。

もし幸福と日常生活への理解の追求しないのであれば、我々は蟻塚で精を出して働いているアリとほとんど変わらないだろう。確かに我々は実際的な課題に本能的に取り組んでいる。しかしまた、我々は立ち止まって世界への認識を発展させる必要があり、自己の存在との意識的な関係を形作っている。

ソクラテスはこう問うた。「戦艦や城壁は、人々がそれを建て、またそれによって人々が守られていないのであれば、幸せといえるだろうか?」

おなじことは現代でも言える。「我々が日々の苦役の中で精神的な豊かさに気を使わないのであれば、虫と変わらない生活を送っている」
ソクラテスは「振り返ることをしない人生は、人間にとって生きる価値のないものだ」と言っていた。

4.「正義のための戦争」なんてありえない、ということを教えてくれている。

ソクラテスは、正義のための戦争などあるのかどうかということについて、深く考えた初めての人だろう。イギリスやアメリカの軍隊がアフガニスタンから離れられず、未だにイラクの傷をなめあっている状況をみると、この問いは現代にも言えることがわかる。

ソクラテス自身もペロポネソス戦争でギリシア軍として参加した経験を持っていた。

5.言論の自由を主張した。

アテネは言論の自由を認めた世界でも最初の政体だ。貧民から貴族まで、アテネの議会に参加することを許されていた。
しかしながら、人々は「アイドス」の心、つまり恥を知り、身の程を知って話なければならなかった。

ソクラテスは、対話を通して真の言論の自由を実現するための仕組みを発展させることで、この慣習に抵抗した。
アテネでは受け入れがたかったが、どちらにしても彼は自分の考えを話し続けた。
その結果、最後にはその代償を支払わなければならなったのだが。
ソクラテスは最後は裁判にかけられ、毒杯を自らあおって死ぬことになったのだ。

彼は当時言論・表現の自由の最先鋒にあった。この考え方は、現代社会における民主主義の要になっている。

6.「哲学的倫理」を生み出した。

正しい道とは何か?ということをソクラテスは深く考えた。
彼は、学者や一般の人々に、外の世界ではなく人間の内面に注意を向けることを促した、最初の哲学者だった。
そして、シンプルで、誠実で、そして決定的に重要な問いを発した。「何が正しく、何が間違っているのか?」
これによって、彼は「哲学的倫理」-善悪の議論を生み出した。
この考え方は、西洋世界に通低する道徳や法体系を形作っている。

7.人間が持つ美徳の擁護者だった。

ソクラテスは「目には目を」という当時はびこっていた同害刑法とは違った、人間の徳という概念を発展させた。
節度、正義、敬虔さ、勇気の混合を信じており、これら全てが知恵に導いてくれると彼は考えた。

ソクラテスは友愛や人々のつながり、そして全ての人類の共通性を強く信じていた人である。
「徳は我々が持っている者の中でも最も価値がある」と述べていあ。我々は他人に良くすることでお互い恩恵を得ているのである。

8.唯物主義に陥ることを警告した。

ソクラテスは靴をはかず、いつも同じぼろの羊毛の覆いを身にまとっていた。そのことで同時代の人間からは嘲笑われていたが、彼は気にしなかった。つつましい衣服は、多くを求めることは心を持たない物質主義につながるという彼の考えを反映したものだった。

ソクラテスはアテネの人々に、富よりも善く生きることを求めよと苦言を呈していた。
この言葉は現代の大量消費社会にいる我々にとっては、より真実味を帯びている。

9.民衆による不服従の価値を説いた。

ソクラテスはギリシアの国では「うるさい人」として知られていた。
彼は政府が改善に向けた行動ができるようになることに、責任感を感じていたのだ。
どんなことがあろうと、悪政に関する話題を人々の前で話すことを恐れなかった。

ソクラテスはこんなことを言っている。
「牛の世話をする人が、牛を減らしてしまい、堕落してしまったとしても、自分が駄目な牛飼いであることを認めないのは、私にとって不思議でならない。しかしもっと不思議なのは、国の指導者達が市民を減らしてしまい、堕落してしまったとしても、恥だと思わず、自分達が駄目な指導者と思わないことだ」

10.自分の信念のために立ち上がることを教えてくれている。

どんなに多くの人々に軽蔑され、ばかにされ、笑われ、もしくは恐れられたとしても、ソクラテスは信念のために生き、哲学を吐き続けた。それによって彼は最後に死を迎える。国はうるさいソクラテスを、若者を堕落させる者として裁判にかけ、毒をあおって自殺することを強要したのである。

ソクラテスは信念を曲げたり、這いつくばって生きていくこともできただろう。しかし彼は最後まで真っ直ぐに立ち、刑罰を受け入れ、逃げる機会さえも拒否した。ソクラテスの死は無謀、殉教とまで言えるレベルだが、最後まで信念を貫き通すという彼の教えは、現代に生きる我々から見ても力強く、不朽である。

10 Reasons Why Socrates is Still Relevant Today

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