2011/06/25

インダス文明でも脳外科手術が行われていた?

インドで人類学の研究を行っている専門家が、ハラッパーの青銅器時代の人骨に脳外科手術の痕跡があることを発見した。

頭蓋骨は4300年前のもので、トレパネーションとして知られる明確な穿孔の跡があった。
発見されたトレパネーションの痕跡
トレパネーションは先史時代に行われていた外科手術で、しばしば頭蓋冠への穿孔もしくは切開を伴う。
頭部の怪我や、頭部への衝撃による骨破片または血栓に対する処置と考えられている。
脳外科手術の痕跡はペルー、ヨーロッパやパレスチナの青銅器時代のイェリコなどでも発見されている。
(アルケオニュースでもチベットの脳外科手術について取り上げたことがある)
インダス文明のハラッパーで発見されたのはこれが初めての例。

トレパネーションが発見された人骨は男性のもので、ハラッパーのH墓地(Cemetery H)から出土した。
副葬品には赤色の土器があったが、ハラッパーの遺跡から出土する典型的なものとは異なっているという。

トレパネーションは別の地域では宗教的な儀式に関連しており、邪悪な魂を取り払うためのものと言われている。
しかしながら、ハラッパーで発見された例は、治療目的で行われた可能性がある。
強力な衝撃によるものと思われる頭蓋外傷があったようで、線状のへこみとして痕跡がのこされていた。

術後に治癒している痕跡もあり、施術された人物が術後も相当な期間生き続けていたことを示している。
トレパネーションの技術は、大陸中で高い類似性を有しており、これは先史時代の日飛び地の移動と外科手術の伝達を示す重要な証拠になる、と研究者は述べている。

‘Brain surgery' during Harappan civilisation?

2 件のコメント:

  1. 南米のものも治療目的といわれてません?
    あちらは戦争が棍棒による接近戦主体で、
    必然的に頭部の外傷が多かったとか。

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  2. ご指摘ありがとうございます。
    本文の最後にあるリンクにある記事から引用しているのですが、ご指摘を受けてこちらで調べてみました。

    たしかに、古代ペルーでは紀元前500年頃か、それよりも前に行われていたようで、頭蓋骨の損傷、もしくは頭痛、てんかんなどの疾患または腫瘍の除去を目的とする処置だと言われているようです。

    古代ペルーでは4つの種類のトレパネーションが報告されていて、削り、線状の切開、円形の溝、穿孔があるようです。かなりの確率で術後に生存していたそうです。

    下記の論文に詳しく出ていました。

    Andrushko, V.A. and Verano, J.W.
    2008 Prehistoric Trephination in the Cuzco Region of Peru: A View Into an Ancient
    Andean Practice. American Journal of Physical Anthropology 137:4-13.

    Verano, J.
    1998 Disease in South American Mummies. Mummies, Disease, and Ancient
    Cultures, Second Edition, edited by Cockburn, A., Cockburn, E., and Reyman, T. pp.
    215-234. Cambridge: Cambridge University Press.

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