2011/06/17

崩壊の危機に瀕するピラミッドを21世紀の技術が守る

サッカラの階段ピラミッド
南ウェールズの会社が21世紀の技術を用いて、紀元前2700年のピラミッドの修復を行っている。

サッカラにあるジェセル王の階段ピラミッドは、エジプトで最古のピラミッドである。
このピラミッドが、1992年の地震後、崩壊の危機に瀕している。

シンテック社はホワイトハウスやウィンザー城の構造的問題に対して、ソリューションを提供してきた実績がある。
今回の4700年前のピラミッドに対しても、この先の4700年間も残り続けることができるよう、対策を講じているという。



シンテック社のプロジェクトはすでに第1フェイズが終了している。
高さ60mのピラミッドを安定させるために、圧縮空気によるエア・バッグが利用されているという。
エア・バッグによって支えられた上で、より永続的な修復作業を行っている。

しかしながら、シンテック社でプロジェクトを運営しているディレクターPeter James氏によれば、今年初めからのエジプトでの政変によって、プロジェクトは複雑な状況に陥っているという。

「我々はすでに資材を用意し、ちょうど1月に作業を開始しようとしたときに、エジプト政府の状況が悪くなってしまった」とJames氏は語る。
「我々は4か月間座ってみているだけしかできなかった。一方で、遺跡の盗掘のうわさも聞き、どれだけの新たなダメージがあるのかと心配していた」
「コンピューターや機材は盗まれてしまったが、幸運にもピラミッド自身には影響がなかった」


シンテック社のエア・バッグの技術は、もともとアフガニスタンで爆発物を安全に除去するためにJames氏によって開発されたもの。

爆弾をバッグによって覆ってしまうもので、バッグは爆発にも耐えることができる。
しかも圧縮の正確なコントロールによって、不安定な物質の上に余計な力をかけずに置くことができる。

ジェセル王のピラミッドの修復に対しては、もともと水を充填したバッグを用いる予定だったが、エア・バッグの使用を余儀なくされたという。
埋葬室の天井の岩の表面がギザギザしており、それによって水を充てんしたバッグがやぶれ、乾燥したピラミッド内部の構造を水浸しにしてしまうリスクがあった。

しかも、埋葬室の下には秘密の回廊が縦横に走っていることを予想していなかった。
そのため、重量のある水による支えは難しいと判断したのである。

そこで、圧縮空気によるエア・バッグの重量テストを行った。
支えとして用いるには1インチあたり12キロニュートンに耐える必要があったが、予想以上に強く、28キロニュートンもの重さに耐えられることが分かった。

一旦安定させることができたら、次に特殊な鉄の棒を階段ピラミッドに対角線上に通すこと予定している。
階段ピラミッドの6つのレベルで、外に見えない形で鉄の棒が編みこまれることになる。

特殊な鉄はシンテック社が世界中の重要な建築物に爆弾への耐性を持たせるために利用していたもので、砂漠の急激な温度変化の中でも、ピラミッドとともに膨張し、収縮するようにデザインされている。

彼らの最後の課題は、崩落しているオリジナルの石材をできるだけ多く元の場所にはめ込むことだ。
目に見えないところは21世紀の技術を利用してできるだけ強固にすることができるが、外側はなるべく本来のものを利用する必要がある。

オリジナルの石材を固着させるためには古代エジプトと同じようなモルタル(古代に利用された接着剤)を利用する。
古代エジプト人が利用することができた素材を用いて、現在何百に及ぶ組み合わせをテストしているという。

Newport firm stabilises Egypt's earthquake-hit pyramid

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