2011/06/04

グリーンランドのヴァイキング消滅の原因は12世紀の大寒波だった?

現在のアイスランドの風景
グリーンランドは北欧のヴァイキングによって入植が行われていたが、15世紀には姿を消してしまう。
ヴァイキング消滅の原因が、12世紀にグリーンランドで起こった寒波だったとする説が提出された。

この報告では、西部グリーンランドにある池の堆積物のボーリング調査によって、5600年前からの温度を復元している。
その結果、先史時代の居住者も、厳しい気候変動にさらされていたことが明らかになった。

アメリカ・ブラウン大学による研究結果で、西暦1100年頃に80年間平均気温が4度低かったことを発見した。

この気候変動は、現在のスコットランドのエジンバラの平均気温から、アイスランドのレイキャビク並みに下がったことになる。
この変化は農耕や牧畜への大きな障害となったと容易に想像できる。

ブラウン大学のWilliam D'Andrea氏は、ヴァイキング達が姿を消す直前にこの低温期が来ていると述べている。


船に乗るヴァイキングの絵
ヴァイキングはグリーンランド西部では1300年代半ばに姿を消し、東部では1400年代初頭にいなくなってしまう。
研究者は、この理由について、わずかな文献史料と考古学的証拠から分析をこれまで行っていた。
土着のイヌイットとの紛争、より良好な狩猟場への移動、経済的ストレス、太陽の放射量の変化もしくは火山の噴火によって起こる気候変動など、様々な原因が考えられてきた。

1400年頃に低温が続くちょっとした「氷河期」があって、徐々に作物が育つ時期が短くなり、アイスランドやスカンジナビアの国々との交易の生涯となる海氷が増えたことは以前から明らかになっていた。
今回の研究は、もっと前の12世紀に別の気候変動があって、むしろそれがヴァイキングによる植民地消滅のきっかけになったとしているのである。
ヴァイキングは980年代にグリーンランドに訪れており、当時は現在と同じように温暖な期間だった。

また今回の研究の成果は、より前の時代の気候変動が、4500年前から2800年前に栄えたサカク文化に始まる先史時代の文化の興隆にも影響を与えていたこと示していた。

現在の地球温暖化現象は、グリーンランドの氷床が溶け出し、世界の海抜を上げることにつながってしまう。
気候変動の研究は、現在直面している問題にもつながっている。

Greenland cold snap linked to Viking disappearance



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