2011/07/24

中世ヨーロッパの重装鎧は逆効果? レプリカによる実験結果


百年戦争中のアジャンクールの戦いで、数に勝るフランスの重装騎兵は長弓隊を駆使したイングランド軍に大敗した。
この時、フランス軍がもっと軽い鎧を使っていたら、結果はもっとマシだったかもしれない。

アジャンクールの戦いは1415年10月25日にフランスのアジャンクールで行われたもので、ヘンリー5世率いるイングランド軍は約7000名、フランス諸侯軍は約20000名だった。
大敗によってフランスはヘンリー5世の子孫によるフランス王位継承を認めるはめになったのである。
アジャンクールの戦い
イギリス・リーズ大学のGraham Askew氏の主導によって行われた研究によると、中世の鎧をまとっていた兵士は、鎧を着ていない状態の兵士の2倍のエネルギーを消耗するということがわかった。
中世の兵士が鎧を着ていた時の負荷が、実験によって証明されたのは初めて。


15世紀の戦争では、兵士は鋼の鎧を装着しており、鎧の重さは30~50kgもある。
この鎧が、戦闘の勝敗に影響する要因だったと考えられている。
「このような重荷を体全体を覆う形で持つのは、背中にしょうよりもはるかに多くのエネルギーが必要なことを我々は発見した」とAskew氏は述べている。
「これは、鎧を身にまとっている状態だと、手足に負荷がかかるからであり、動かす時により多くの力が必要になるからだ。背中にしょっている状態では、負荷は一つの場所に集中し、手足はずっと動かしやすくなる」

実験では、イギリスの王室鎧博物館(Royal Armouries Museum)で、当時の戦闘に関する技術を持つ研究員達に、4つの異なるタイプのヨーロッパにおける鎧のレプリカを着てもらった。
それぞれ呼吸計測のマスクを着用して酸素の消費量を計測しながら、歩行、ランニングの運動をしてもらい、被験者がどの程度の量のエネルギーを消費したかを算出した。

研究の結果、鎧は兵士の呼吸にも明確な影響を与えていることがわかった。
鎧をしている状態では、鎧をしていない状態よりも呼吸が浅く、数もはるかに多いのである。

「全身を覆う鎧に包まれていたほうが、兵士には安心感があった」と共同研究者のFederico Formenti氏(オークランド大学)は述べている。
「しかし、中世の鎧をまといながらではあっという間に息切れしてしまい、兵士の戦闘能力を制限してしまう結果になっていただろう」

Heavy metal hardens battle

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