2011/07/02

エジプトをも支配した強大なクシュ王国の中心地・メロエが世界遺産に登録される スーダン

スーダンの首都ハルツームから北200kmにある、メロエの遺跡群がユネスコの世界遺産に登録された。
メロエのピラミッド
パリで行われたユネスコの第35回世界遺産委員会の会議で29日に登録が決定した。
メロエはスーダンのナイル川とアトバラ川の間にあり、「クシュ」と呼ばれる王国の中心地であった。
クシュ王国は紀元前8世紀から紀元後4世紀にかけて栄え、一時はエジプトを含め、ナイル川流域の地中海沿岸部からアフリカ中央部にかけて支配した強大な国だった。
クシュ王国の王は古代エジプト第25王朝のファラオとして君臨し、紀元前671年にアッシリアのエサルハドン王によって追い出されるまで、約1世紀にわたってエジプトを支配した。


古代のスーダン地域はヌビアとも呼ばれる。
ヌビアに位置するメロエは鉄鉱石や樹木が豊富で、製鉄が行われ、鉄器製造の中心地となった。
メロエには小型のピラミッドが数多く建造され、ヒエログリフをもとにしたとみられるメロエ文字が発明されるなど、エジプトの影響を色濃く受けていた。

ユネスコの声明によれば、この遺産は各地域の美術、建築、宗教、言語の交流を示すものであり、メロエのクシュ王達の王都、その近くに位置する宗教的な都市ナカ、ムサワラット・エス・スフラによって構成され、ピラミッド、神殿、住居址群や灌漑施設、その他多くの遺跡によって特徴づけられる、としている。

治安の悪いことや、観光のための施設に乏しいことから、スーダンの観光産業は未発達の状態であった。
数字の面でも、隣のエジプトは2008年に1200万人の観光客が訪れているが、スーダンはたったの40万人であった。
しかしながら、スーダンは観光資源となるものが豊富にあるといわれており、今回の世界遺産登録もスーダンの観光産業を後押しすることになるかもしれない。

Sudan: Unesco Declares World Heritage Site in Country



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