2011/07/03

古代のアボリジニの焼畑が気象に変化をもたらしていた?

最初のヨーロッパ人居住者が17世紀にオーストラリアに来た時、アボリジニ達は奇妙な農耕の習慣を有していた。
冬のモンスーンの時期の間にある、乾季の涼しい期間に、北部オーストラリアの各地にある草原、植物を決まって燃やすのである。
Credit: Lindsay Brown / Lonely Planet Images/Newscom
このような一定の規則に従った焼却は、続く雨の多い季節での土地の再生をより活性化させることを意図していたようだ。
しかし、この活動が夏の乾季を通常より暑く、より乾燥させることに一役かっていたという新たな研究成果が提出された。

以前には、このような焼却活動が、数千年前に起きたカンガルーのいくつかの種やウォンバット、その他の有袋動物などの大型動物の絶滅につながったとする研究が報告されていた。
しかしこのような焼却活動が気候にも影響していたかどうかについては不明だった。
アメリカ・ウィスコンシン大学の気象学者Michael Notaro氏によると、これまでの気象のシミュレーションは雨期の主要な月に限定されており、データとして不十分だったのである。

Notaro氏と共同研究者は、アボリジニの焼却活動が11月から3月に至るモンスーン期前、中、後にどのように影響していたのかを見ていった。
海、陸、大気、植物の相互作用を統合した地球規模の気象モデルを用いたシミュレーションで、オーストラリア北部の土地から植物を20%除き、植物がある状態のシミュレーションと比較したのである。

その結果、モンスーン前の時期の11月と12月で気候の変化が見られることがわかった。
これらの月の総雨量が30㎜減少するのである。
この量は少なく感じるかもしれないが、モンスーン前の雨はこの地域における乾期後の植生の再生に不可欠なものなのだ。

乾期の末に起こる植生の減退は、この地域一帯の大気へ放出される湿気の源になる地中深くの水分量を減少させる。結果として湿度が下がり、降水確率がさがる。
また地中の水分の減少は気化熱による気温の低下を抑え、モンスーン前の時期の気温を約 0.57°Cあげてしまう。

この分析はあくまでモデルによるもので、遺跡や地中に残っている証拠から導き出されたものではない。また、この地域にアボリジニが定住し始めた55000年前の気候と現在の気候がどれほど変わっていたのかについてはあまり考慮されていないという問題もある。
しかしながら、人間活動が気候に影響を与えうるというのは、現代の話だけではないということを、この研究は教えてくれているという意味で、興味深いといえる。

Did Australian Aborigines Change the Weather?

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