2012/04/02

イラク南部で発見された墓 シュメール文明期の王族の可能性

イタリアの調査隊がイラク南部で紀元前3千年紀の墓を発見した。
場所は古代の都市ウルから20kmほどの所にあるアブ・トベイラ(Abu Tbeirah)であり、南メソポタミアで繁栄したシュメール文明に関する有用な考古学的証拠を提供してくれるという。
イタリア隊によって発見された墓 Credit: ADNKronos
墓には若い男性の埋葬があり、衣服はカーネリアン製のビーズで装飾されていたことから、王族のものである可能性が指摘されている。
カーネリアンは、青銅器時代に宝石や装飾に広く使われていた半貴石である。

「当時のインダス河畔からもたらされた3つのカーネリアン製ビーズの存在は、衣服の豪華さを際立たせている」とイタリア・ローマ大学サピエンツァ校の考古学者Franco d'Agostino教授は語っている。

「リトルプリンスの墓」と名付けられたこの墓は、ウルやニップールから発見された王族の墓所の埋葬と類似しているという。
ニップールはアブ・トベイラの200km北方にある。

さらに、4つの青銅の器が発見されており、そのうちの1つは船形をしていた。
また、青銅製の短剣も出土している。

「この墓を調査することによって、遺体を埋葬する際の手順や行為を復元することができる。今までメソポタミアで行われた発掘ではこれについて報告されてこなかった。この調査によって古代メソポタミアの埋葬習慣に関する多くの側面を明らかにすることができるだろう」とd'Agostino教授は述べている。

2003年のアメリカによるイラク統治以後、治安上の問題からイラクの遺跡での考古学的調査ができない状況が続いていた。

2003年以降の南イラクで行われた外国隊による発掘調査は、昨年秋のアブ・トベイラ発掘が初になるという。

今回の「リトルプリンスの墓」の発見は、イラク政府側は好感を抱いているようであり、今後イラクにおける外国隊の調査が増えることにつながるかもしれない。

Bronze Age “Tomb of the Prince” unearthed in Iraq


ラベル「古代メソポタミア」、「墓」を含む記事

0 件のコメント:

コメントを投稿