2011/10/14

ペスト菌のゲノムから中世の大流行の原因を探る

これらの人骨はロンドンにある14世紀の墓地から1980年に発掘されたもので、1347年から1351年にかけてヨーロッパで猛威をふるい、30万人が命を落とした「ペスト(黒死病)」による死者と考えられている。
研究者らが、この墓地には2500人のペストによる死者が埋葬されており、ここから発見された遺体の歯を用いて、ペスト菌のゲノムの99%を再現した。

研究の成果は、Natureのオンライン版に掲載されている。
A draft genome of Yersinia pestis from victims of the Black Death

分析の結果、現在世界に拡散しているペスト菌株は、中世の菌株に由来していることがわかった。
14世紀のペスト菌のゲノムは現代のものと極めて良く似ており、未曾有の疫病につながった毒性を説明するような明確な変異が認められなかった。
人間の疫病に対する感受性や、ペストを拡散させる媒介とされていたげっ歯類やノミの生態など、別の要素が中世におけるペストの大流行の原因かもしれない、と調査を行ったチームは結論づけている。

アルケオニュースでは、中世のペスト流行の原因がネズミではなかったという説について、取り上げたことがある。
「中世のペスト大流行の原因はネズミではなかった? 」



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