2011/10/17

10万年前の塗料製作の痕跡 南アフリカ

南アフリカ・ケープタウンのブロンボス洞窟で、塗料や革の保護に利用されたと考えられる黄土(オーカー、顔料の原料)が豊富に混ぜられた土が、2枚のアワビ貝の中に入れられた状態で見つかった。
10万年前に年代付けられるものだという。

「黄土は装飾する意図があって体や服に塗られていたものだろう」とヨハネスブルグのウィットウォーターズランド大学人類進化研究所のChristopher Henshilwood教授は語っている。
教授は2008年にも、黄土に水を混ぜて混合物を作っていたと考えられる場所を発見していた。

貝の付近からは道具と思われる遺物が原位置(埋没した時から動かされていない状態)で発見されている。
道具には、黄土、骨、炭化物、石臼、ハンマーストーンなどが含まれていた。
黄土を顔料(着色に用いる粉末で水や油に不溶のものの総称)として使用するために砕き、削って粉にすることは10万年前以降のアフリカ、西アジアで共通して行われている習慣である。

「この発見は、人類の複雑な認知能力における進化の重要なベンチマークとなる。人類が材料を調達し、混ぜ合わせ、保管するという概念的な能力を有し、それが人間の社会的活動を向上させていったことを示している」とHenshilwood教授は説明している。

「黄土の破片は石英や珪岩、けい質れき岩のハンマーストーンと石臼によって粉砕されて、熱して砕かれた哺乳類の骨、炭、石の砕片、液体と混合された。その後アワビの貝の中に入れられて、かき混ぜられた。混合物をかき混ぜ、その一部を貝から取り出すのには、骨がおそらく使用されていた」

黄土の混合物が出土した石英の堆積層は、光刺激ルミネッセンス年代測定法によると約10万年前に年代付けられるそうだ。
この年代は熱を受けた石器に対する熱ルミネッセンス年代測定法や炭酸カルシウムコンクリーションでのウラン系列年代測定法による結果と一致している。

「この道具類の発見は、初期の人類の技術や振る舞いに関する進化の証拠となるとともに、顔料となる混合物の原料の収集、製作、整理や入れ物の使用についての資料となる。この発見が、10万年前の人類が初歩的な化学の知識を持ち、長期的な視野で製作工程の立案を行う能力を有していたことを明らかにしてくれている」とHenshilwood教授は結論づけている。

発見された遺物はケープタウンのイジコ博物館に展示される模様。

100,000-year-old ochre toolkit and workshop discovered at Still Bay, South Africa



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