2012/03/02

ネアンデルタール人は海を渡っていた? 離島から石器が出土

ネアンデルタール人が10万年前に地中海を船で移動していたかもしれない。
もっとも、この説に懐疑的な人々は、単純に泳いでいただけと考えている。
ネアンデルタール人は30万年前から地中海周辺に住んでいたと考えられている。
彼らが使用していたムステリアンと呼ばれるタイプの石器が、ギリシア本土だけでなく、レフカダ島、ケファロニア島、ザキントス島でも発見されている。
これは2通りに解釈ができる。1つはこれらの島が昔は地続きで簡単に行き来ができたか、もう1つは彼らが何とかして海を渡っていたかである。

ギリシア・パトラ大学のGeorge Ferentinos氏によると、前者はありえないという。
Ferentinos氏が収集したデータによると、10万年前はまだ寒冷であったため、海抜が現在より120m低かったことが分かっている。
しかしギリシアの海は深さ300mに及んでおり、もしネアンデルタール人がいた時代は深さ180mあったことになる。

Ferentinos氏は、10万年以上前のネアンデルタール人が、海を渡っていたと考えている。
現代人が海を渡ってオーストラリア大陸に辿り着いたのは、約5万年前のことだ。

ギリシア本土から島への距離は短く、5~12km程度である。
しかしロードス島・プロビデンス大学のThomas Strasser氏によると、ネアンデルタール人はもっと遠くまで到達していたという。

2008年に彼はクレタ島でも同様の石器を発見しており、少なくとも13万年前にさかのぼると考えられている。
クレタ島は約500万年間は離島であり、一番近い陸地から40km離れている。
Strasser氏も、少なくとも地中海に関しては、ネアンデルタール人が現代人よりもずっと前の時代に海を渡っていたという説に同意している。
彼は、初期人類にとって海は障壁ではなく、交通路として積極的に利用されていたと考えている。

しかし、物質的な証拠に乏しいという問題がある。
おそらくは木で作っていたであろう船も、あまりにも昔のものであるため、残存していることは考えにくい。
地中海で確認された最も古い船は、イタリアのブラッチャーノ湖で発見された丸木舟であり、7000年前のものだ。
Ferentinos氏は、ネアンデルタール人も同じような船を作っていたと推測している。

一方、イギリス・シェフィールド大学のPaul Pettitt氏は、よりシンプルな解答を与えている。
単純に、ネアンデルタール人が海を泳いでいたというのだ。
Pettitt氏はまた、石器が理化学的な方法で年代測定を行っておらず、そのデザインから年代を推測している問題を指摘している。

Ferentinos氏が正しかったとしても、ネアンデルタール人が最初に海を渡った初期人類ではないかもしれない。
実は、100万年前の石器がインドネシアのフローレス島から発見されている。
ネアンデルタール人へ進化する以前に、初期のホモ・エレクトスが海を渡っていたかもしれないのだ。

Neanderthals were ancient mariners 


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