2013/01/16

ローマ時代のポンペイには2階にトイレがあった!

イタリア・ナポリの近郊にあった古代都市ポンペイは、紀元後79年のヴェスビオ火山の噴火による火砕流で、一瞬にして地中深くに埋まってしまった。その後町18世紀に至るまで地中に没したままであったことが原因で、古代ローマの都市の様子がそのままの状態で残されていた。
テーブルには食器がそのまま置かれていたり、壁のフレスコ画が良好な状態で残されているなど、当時の町や生活の様子を知るための稀有な遺跡であり、世界遺産にも登録されている。
ポンペイの遺跡。背後にはヴェスビオ火山が見える。
このポンペイ遺跡には、どうやら2階にもトイレが備えられていたらしい。
2階建ての住居があったことは知られているが、2階まで残っている例は多くはない。
しかし、2階に続いていた垂直方向のパイプが残っており、トイレが上の階に存在していたらしいことがわかってきた。
ポンペイのトイレについて研究を行っているミズーリ大学のA. Kate Trusler氏によると、2階が残存している家屋の例は23あり、これらには下に続く垂直のパイプが取り付けられているというのだ。

ポンペイにはどの家にもトイレが付いていたと過去の研究では指摘されていた。しかし、Trusler氏が調べた限りある地域ではトイレ付の家屋が密集しており、他の地域ではトイレが見当たらないそうだ。
そこでTrusler氏はポンペイ市のトイレと垂直パイプの位置を地図上に落としていった。
第6地域(Region 6)と呼ばれる居住エリアでは、ほとんどの家で1階にトイレがついていた。
しかし他のブロックではほとんどトイレが見られなかった。
全体で、43%の家には1階にトイレが付設されていることがわかった。

実は、垂直パイプのある家屋が、残りの%を埋めてくれるのだ。
垂直パイプは陶製であり、ポンペイ市の中でも一番古い地域に多い。
この地域は狭い範囲に多くの工房や商店が密集していた。
これらの家屋から286の垂直パイプが発見されており、失われた2階のフロアへと続いていた。
23例は2階が残存しており、同じ垂直パイプがトイレにつながっていたのである。

さらにこれらの垂直パイプの内面を分析したところ、表面には糞便の物質があり、腸の寄生虫の痕跡が発見された。これらはトイレに関連する有力な証拠である。

このようなトイレの存在から、工房や商店の上の階は、居住スペースとして用いられていたと、Trusler氏は推測している。
垂直パイプは紀元前1世紀から紀元後1世紀の間に取り付けられたと考えられている。
この時期はちょうど、上下水道の仕組みが市において発達した時期と同時であるという。
ポンペイ市の都市の発展に関する情報としても、Trusler氏の発見は有益な成果と言えるだろう。

Ancient Pompeians Could Go Upstairs to Pee

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